院長談

2014年11月 6日 木曜日

猫かぜ

院長の山中です。



最近、寒くなってきたせいか

くしゃみや眼やにの症状で来院される

猫ちゃんが多くなった気がします。



この俗に猫かぜと言われる上部気道の感染症は

ウイルス・細菌・クラミジアなどが原因になりますが

特に

猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)猫カリシウイルス(FCV)

によるものが多くみられます。



猫ヘルペスウイルス1型に感染すると結膜炎鼻炎をおこし

結膜が赤く腫れ涙や眼やにが出たりくしゃみや鼻汁がみられます。

さらに結膜だけでなく角膜炎を起こすことがあり

角膜が白く濁ったり、穴が開いてしまうこともあります。

この場合、視力に影響がでたり

最悪、失明することもあるため注意が必要です。

また、子猫や免疫力の低い猫では

重症になり肺炎を起こしてしまうこともあります。



このウイルスは鼻汁や眼やになどの

分泌物中に含まれているため

くしゃみによって広範囲にばらまかれ

同居猫にも感染が広がってしまいます。



また、このウイルスの特徴として

症状が治まったあとも神経節等に潜んでおり

ストレスを受けたり体調を崩した際に

再発してしまうことがあります。



体力のある成猫では亡くなることは少ないですが

子猫や体力の低下した猫では重症になることもあるので

しっかり治療してあげましょう。

また上記のように潜伏感染してしまうので再発防止のため

ストレスのない生活や健康管理をしてあげることも重要です。

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2014年10月23日 木曜日

食道梗塞つづき

こんにちは。

院長の山中です。



昨日の食道梗塞の話の続きになりますが

犬は結構大きな物でも丸飲みしてしまうことがあります。

その結果、食道の途中で詰まってしまい

食道梗塞食道内異物とも言います)を起こしてしまいます。

梨、リンゴ、犬用のガム、フライドチキンの骨

小型犬では焼き鳥の砂肝などもよく詰まってしまいます。



食道に物が詰まって何が問題かというと

詰まっている場所の食道粘膜が圧迫され

血のめぐりが悪くなってしまいます。

この状態が長期間続くと食道が炎症を起こし

最悪、穴が開いてしまいます。

穴が開くほどになると治療しても亡くなってしまうことが多いです。



また、穴が開かなくても食道の損傷が治る過程で

食道が狭くなってしう食道狭窄を起こすことがあります。

この場合、食べ物の通りが悪くなり

物が飲み込みづらくなってしまいます。



食道梗塞の症状ですが

典型例では大きな物を飲み込んだあとから

頻繁に吐こうとするが何も出ないまたは

泡みたいなもの(飲み込めなかった唾液です)

を吐く(吐出と言います)といった症状がみられます。



注意したいのは頻繁な吐出が出てないときです。

詰まっていても数回白い泡を吐いただけだったり

食べた後だけ吐くといった症状だと

胃腸炎による嘔吐と間違えてしまうこともあります。



治療法としては全身麻酔下で詰まった物を

胃の中に押し込むか内視鏡で摘出します。



食道梗塞は場合によっては命に関わることもあるので

ワンちゃんにおやつをあげるときは

詰まらない大きさにして与えてあげるようにしましょう。

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2014年10月17日 金曜日

薬物中毒 アセトアミノフェン

こんにちは。

院長の山中です。



前回、薬物の代謝経路の一つである

グルクロン酸抱合について触れましたが

この反応で代謝される薬物にアセトアミノフェンがあります。



アセトアミノフェンは風邪薬や頭痛薬に入っており

どのご家庭にもあるため犬猫が誤食してしまうことがあります。



アセトアミノフェンを摂取すると肝臓で代謝されますが

その代謝過程で有害な中間代謝産物ができます。

通常はこの物質はグルクロン酸抱合によって

無毒化され体外へ排出されますが

摂取量が多い場合は代謝しきれず

肝細胞や赤血球を酸化障害して

肝障害メトヘモグロビン血症などを起こしてしまいます。



犬ではグルクロン酸抱合で代謝することができますが

多量に誤食することが多く中毒を起こしてしまいます。

この場合は早期に治療しなければ命に関わることもあります。



また猫では薬を誤食することは犬よりも少なく

誤食したとしても少量ですが

グルクロン酸抱合による代謝が行えないため

一粒でも有害な代謝産物が蓄積し

強い中毒症状を起こしてしまいます。

この場合、治療をしても亡くなってしまうことも多いため

薬の管理はしっかりしておきましょう。

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2014年10月16日 木曜日

猫の薬物代謝

こんにちは。

院長の山中です。



猫は薬物で中毒を起こしやすい動物ですが

それは猫の薬物を代謝する能力と関係があります。

その一つにグルクロン酸抱合という代謝経路があります。



薬物の代謝・排泄には

第Ⅰ相反応と第Ⅱ相反応の2段階があり

この第Ⅱ相反応の中にグルクロン酸抱合があります。



グルクロン酸抱合は

薬物を体外へ排出しやすい形にする反応ですが

猫ではこの反応の一部が欠損しています。

細かく言うと

UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT) UGT1A6

が欠損しています。

そのためこの酵素で代謝される薬物を摂取すると

中毒を起こしてしまいます。



また、薬物以外の生体異物の解毒に重要な働きをしている

グルタチオン抱合の能力も低いといわれています。



このように猫は人や犬よりも中毒を起こしやすいため

むやみに薬を与えたり、誤食されないように気をつけてあげましょう。

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2014年10月15日 水曜日

猫の味覚

こんにちは。

院長の山中です。



今日は猫の味覚について書きたいと思います。

猫と犬が味をどれくらい感じるかというと

        猫     犬

苦味     3      1

旨味     2      1

塩味     1      3

酸味     1      1

甘味     0      1


という比率で味を感じているそうです。

そういわれると犬がしょっぱい物や甘いものを食べるのに比べ

猫はそういったものはあまり食べないことも頷けます。

(苦い薬を飲ませると泡を吹くのにも頷けます。)



また、猫がどうのような基準で食べ物を選んでいるかというと

① 鼻の感覚・・・匂い

② 口の感覚・・・食感、味、形、大きさ

③ 摂取後の感覚・・・栄養バランス

のようです。




猫の嗅覚細胞の数は約6500万個あり

人の約500~1000万個に比べかなり多くあります。

(犬は約2億~30億もあるそうで桁違いですね。)

匂いは猫の食欲に強く影響するため

鼻の詰まった猫はフードを食べなくなってしまうこともあります。



一方、味を感じる舌の表面にある味蕾の数は

猫が約500個、犬が約1700個、人が約4000~9000個だそうです。



3つめの栄養バランスについてですが

猫は蛋白質の要求量が多いため甘い食べ物やしょっぱい食べ物より

旨味の多い高蛋白な食べ物を好むようです。

猫は味にうるさいように思いますが

こうしてみるとむしろ匂いと旨味(豊富な蛋白質)にうるさいようです。



ちなみに猫が好む食器の材質は

陶器製、ガラス、プラスチック、ステンレス

の順だそうです。

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